大阪には約5000年前(縄文時代中期)から人が住み、難波宮遷都により聖徳太子の昔から政治・文化の中心地として発展してきました。石山本願寺の建立、豊臣秀吉の大坂城築城、江戸時代には「天下の台所」と呼ばれ、日本経済の中心を担うとともに、今に伝わる「上方文化」が花開きました。明治時代以降は商工業が大いに盛り上がりをみせ、現在の大阪の基盤を築きあげました。
大阪には長い歴史に育まれた文化と伝統、由緒ある建物や町並み、多くの美術品があふれ、その中に日々新しい生活を築いていく人々の姿がありました。先人から受け継いだものを大切に残し、後世に伝えていくことは私たちにとって重要な役目と考えます。
しかし、人々が受け継いできた多くの宝が戦争により失われました。この事実を風化させないためにも本書でその一部を紹介します。
【著者】 中村 哲(なかむら てつ) 1970年大阪生まれ。1997年から1999年、財団法人大阪市文化財協会補助員。 1999年から2009年、財団法人大阪国際平和センター(ピースおおさか)専門職員。主な調査研究に「東京陸軍被服本廠・朝霞作業所(東京陸軍被服支廠)の疎開について-太平洋戦争開戦から終戦処理まで」『東京都北区教育委員会文化財研究紀要 21集』(平成20年3月)
*定価1575円(税込)
*A5判 148ページ
*ISBN9784889008678
【目次紹介】
序文 「人間文化の意味ある活動」を再現 木津川計
戦争への道
Ⅰ.文化編
1.大阪市立美術館
2.大阪商科大学
3.船渡御(天神祭)
4.大阪市天王寺動物園
Ⅱ.金属供出編
《建造物》
5.初代通天閣
《梵鐘・記念碑》
6.世界一の大梵鐘(四天王寺)
7.市内第一の大鐘(大蓮寺)
8.灯籠(大阪天満宮)
《銅像・記念碑》
9.木津勘助像(敷津松之宮大国主神社)
10. 本木昌造像(四天王寺)
11. 豊臣秀吉像(豊國神社)
12. 西村捨三像(天保山公園)
13. 池上四郎像(天王寺公園)
14. ミネルヴァ・メリクリウス像(大阪市中央公会堂)
15. 沖野忠雄像(毛馬の閘門)
16. 嘉門長蔵・嘉門コマ子像(済生会病院)
17. 福沢先生誕生地碑
18. 狛犬(鵲森宮)
Ⅲ.空襲被害編
《建造物》
19. 津村別院(北御堂)
20. 難波別院(南御堂)
21. 願泉寺茶室・書院 -旧国宝-
22. 五重塔(四天王寺)
23. 東大門(四天王寺)-旧国宝-
24. 八窓茶屋(一心寺)
25. 円珠庵 -国指定史跡-
26. 道頓堀五座
27. 新町廓
28. 北陽演舞場
29. 天下茶屋(茅木邸)
30. 旧大阪府庁(大阪府工業奨励館)
31. 実相庵(南宗寺)
《寺宝》
32. 朝鮮鐘(正祐寺)-旧国宝-
33. 頬焼地蔵尊(専修院)
《祭具》
34. だいがく(生根神社)
35. 岸和田だんじり(中之濱町)
《老樹・名木》
36. 渡辺綱駒繋ぎの樟 -旧大阪府指定文化財-
37. 八垂の公孫樹(八坂神社)
38. 花魁銀杏(和光寺)
39. 玉椿(一心寺)
40. 愛染かつら(愛染堂勝髭院)
《人物》
41. 中村魁車(歌舞伎役者)
《墓石》
42. 淀殿の墓(太融寺)
43. 大塩平八郎の墓(成正寺)
Ⅳ.終戦編
A.紀州御殿
B.帰ってきた梵鐘(大念寺・正立寺)
C.越中井
D.大阪城の建物
Ⅴ.おわりに
参考文献・協力者